『持続的な開発が可能な社会』とは、環境問題だけではなく、様々な構成要素で達成を目指すものです。
本学は、総合大学として「学問の力で、東京から世界の未来を拓く」というビジョンを掲げ、基礎研究から応用研究まで、多様な研究・プロジェクトに取り組んでいます。自然科学や人文科学、社会科学など、広い分野の知識と深い専門の学術に基づくその研究成果は、世界各国の政府や企業が取り組みを進めている『持続可能な開発目標(SDGs)』にも貢献しています。
本特集では、SDGsの3つの側面である「経済」「社会」「環境」に「技術」という観点を加えて紹介いたします。
目次
環境分野・・・再生可能エネルギー・水素エネルギー・CO₂削減・CO₂利用・気候変動予測など
経済分野・・・サステナブルファイナンス・ソーシャルビッグデータ・地域格差など
社会分野・・・文化的多様性・貧困問題・大都市の超高齢化対策など
技術分野・・・医工連携・高度情報通信システム・人工知能など
環境分野
特集①「化学の立場からエネルギー問題を考える 〜再生可能エネルギーとしての太陽光の有効活用」 高木 慎介
持続可能な社会を構築するための方策の一つとして、再生可能エネルギーとしての太陽光の有効利用が挙げられます。化学という学問の立場から、どのように太陽光エネルギーを利用可能なのかについて、最先端の研究開発の状況について講義します。
特集②「「Earth at Night」(夜の地球)からわかること」 川東 正幸
NASAが公開して有名になった「夜の地球」の写真は多くの人に強い印象を与えました。環境問題の話題で良く使われています。その時、特に明るい部分が話題にされていますが、暗い部分にも焦点を当てて考えてみましょう。
特集③「地球の立場で見た地球環境問題」 河村 明
地球環境問題を考える場合、その時間的・空間的スケールを大きく取ってみると、意外とその新たな側面や本質が見えてきたりします。本模擬授業では、「地球の気持ち」(?)を人間スケールで理解するために、極端に大きな時空間スケールで地球環境問題を捉えてみます。
特集④「世界自然遺産「小笠原」を知る 小笠原の水環境」 山崎 公子
特集⑤「世界自然遺産「小笠原」を知る 自然の価値と保全の取り組み」 可知 直毅
特集⑥「世界自然遺産「小笠原」を知る 小笠原諸島の植物」 加藤 英寿
特集⑦「Ecology 生態学各論 Living in Groups」 クローニン アダム
このコースは、行動的および進化的視点から様々な生態学の原則を探求する為に、総合的なアプローチを取ります。我々は、様々に異なった生活史戦略が、環境、社会、進化の背景からどのようにつくり出されたのかを探求します。
特集⑧「Ecology 生態学各論 Phylogenetic reconstruction」 クローニン アダム
このコースは、行動的および進化的視点から様々な生態学の原則を探求する為に、総合的なアプローチを取ります。我々は、様々に異なった生活史戦略が、環境、社会、進化の背景からどのようにつくり出されたのかを探求します。
特集⑨「世界自然遺産小笠原諸島の今」 可知 直毅・菊地 俊夫
2011年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島は、今年10周年をむかえました。東京都立大学は、1968年に小笠原が日本に返還されて以来50年以上にわたり、小笠原研究に取り組んできました。その研究成果をわかりやすくご紹介します。第一部では、「進化の見本」としての世界自然遺産の価値とそれを守るための外来種対策について解説します。第二部では、小笠原の社会・経済を支えてきた観光業の発展に関して、環境保全と産業発展との両立という難しい命題に取り組んできた実態と将来的な課題について解説します。
経済分野
特集①「GIS(地理情報システム)によるフードデザート問題の分析」 矢部 直人
近年、市街地からの食品スーパーの撤退などにより、食料品店へのアクセスが悪く、生鮮食料品の入手が困難な地域が出現しています。このような地域はフードデザート(食の砂漠)と呼ばれています。この授業では、GIS(地理情報システム)により、フードデザートの可能性が高い地域を可視化して分析します。
社会分野
特集①「社会的排除と地域福祉」 室田 信一
孤立死や引きこもりなど現代社会の問題は従来の社会福祉の制度やサービスでは十分に対応することができません。地域を基盤とした各地の実践事例を参考に、日本の社会的排除と地域福祉の関係について考察します。
特集②「天羽高校防災教育実践・天高防災デー 東日本大震災:避難所となった学校とその地域社会に果たした役割」 上野 淳
特集③「天羽高校防災教育実践・天高防災デー 天羽高校防災教育実践」 永井 正洋・畠山 久(※資料のみ)
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特集④「災害に強い都市と社会をつくる」 市古 太郎
自然現象である地震や台風をなくすことはできません。しかしそういった自然ハザードに立ち向かい、災害に強い都市や社会を創っていくことは可能です。そのための学問である、防災科学の考え方や方法論を紹介します。
特集⑤「「建築」資源の持続的活用」 角田 誠
建築には、建築を作り上げる「物理的な資源」と、出来上がった「空間としての資源」の2つが存在します。いずれについても資源の「有効活用」が望まれています。 どのように「有効活用」すれば良いのか、考えてみましょう。
特集⑥「日本語と社会と文化」 西郡 仁朗
高齢化社会が進む日本において,介護福祉分野の人材が不足していると言われて久しい。日本政府は様々な形態で外国人材の受け入れを進めている。これは日本だけの問題ではなく,アジア各国での社会経済・医療福祉の発達,人口動態の変化など,国際的な問題でもある。 この講義では日本語教育学という立場で、現状を概説している。
特集⑦「社会学からみた都市の貧困問題」仁井田 典子
コロナ禍においてサービス業を中心に打撃を受けたことにより、貧困問題に対する社会的な関心は高まっているように思います。そうしたなかで、私たちが生きる社会を対象とする社会学の観点から、都市の貧困問題とはどのようなものとしてみえてくるのかについて説明します。
特集⑧「人口減少時代の都市計画・まちづくり」饗庭 伸
高校生の皆さんは、自分が住んでいるマチをどのように考えていますか。生まれた時からマチで暮らしている人は、それを「変わらないもの」「変えることが難しいもの」と考えていないでしょうか。そして、少子高齢化が進み、人口が減ると聞くと、「もうマチをつくらなくてもよいのではないか」と考える人も少なくないでしょうか。この講義ではこれからのマチをデザインし、つくる方法を考えていきます。
技術分野
特集①「世にない新しい超伝導物質のデザイン」 水口 佳一
超伝導を利用したシステムは世の中に大いに貢献していますが、超伝導システムの可能性をさらに広げるためには、新しい超伝導物質の発明(新物質デザイン)が重要です。そのような研究を達成するには、専門的研究やスキルも必要ですが、実は発想力がないと、なかなか難しいのです。他人とは一味違った発想力を身に着けるためには、広範な知識の習得、基礎力・好奇心などを養う必要があり、高校での授業も非常に大切です。超伝導物質をデザインする研究を簡単に紹介、発想力の重要さを共有し、今後の皆さんの可能性についても一緒に考えていきましょう。
特集②「対話システムとコミュニケーションロボット」下川原 英理
本講座では人工知能と対話システムの関係についてもお話します。さて、話をする機械といえば、Pepperのようなコミュニケーションロボットを想像する方もいるでしょう。対話システムとコミュニケーションロボットは何が違うのでしょうか?対話システムが進化したものがコミュニケーションロボットなのでしょうか。対話システムとコミュニケーションロボットの関係についても一緒に考えましょう。
特集③「機械学習入門」近藤 伸彦
近年の人工知能(AI)技術の発展はめざましいものがあります。現在の人工知能の基盤的な技術が「機械学習」です。これは、データの背後にある法則をコンピュータが自動的に「学習」するしくみです。この模擬授業では、脳の神経回路網をヒントにしたニューラルネットワークを取り上げ、中学・高校までの簡単な数学と関連づけながら、また実際のプログラムによる実例を示しながら、機械学習のしくみを易しく説明します。
その他本学のSDGsに関する取り組みは、以下をご覧ください。